2009年 03月 16日
教育林のクロカワゲラ科 -3- |
これまで教育林では無翅のクロカワゲラ科は2種確認しているが、有翅の種は見たことが無かった。
しかし先日初めて、畑内川沿いで1個体だけだが出合うことが出来た。
「日本産水生昆虫」(川合禎次・谷田一三共編、東海大学出版会刊)で科の検索を引き、クロカワゲラ科であることを確かめてから属の検索を引いてみたところ、
・前胸の前腹板は基腹板と分離する
・中胸腹板に位置する後叉状板は叉状板および棘状板と融合しない
・長翅あるいは短翅、時に微翅(透明)となる
・尾は腹部の長さと同じかより長く、10節より多くの節からなる
・前翅のR1脈は基部で前方に折れ、さらに後方へと曲がる。前翅の1A脈は、下方に曲がっ
たあと折り返すように曲がる;(中略)。雄の場合は第7背板が変形する
という流れを経て、「クロカワゲラ属の一部」に落とすことが出来た。
クロカワゲラ属の一種 Capnia sp. (2009年3月12日撮影)
最初に属の検索を引いたときは、1A脈が図鑑に図示されているものほど曲がっていなかったので、オカモトクロカワゲラ属 Takagripopteryx かとも思ったが、その属とは第7背板が微妙だが変形すること、翅が腹部よりも長いことから違うだろうと判断した(オカモトクロカワゲラ属は第7背板が変形せず、翅は腹端に達する程度だという)。 前翅脈の一部(黒矢印はR1脈、赤矢印は1A脈) (2009年3月14日撮影)
クロカワゲラ属は、河川中流から源流にかけて様々な種が生息していて、北海道では本属の模式種となるクロカワゲラ C. nigra が記録されているという。
今回の結果から、教育林には2属3種のクロカワゲラ科が生息していることが分かった。
もうしばらくしたらクロカワゲラ科の成虫は見られなくなってしまうだろうが、それまでにこの有翅の個体を、いくらかでも追加しておきたいところだ。 肛上板側面(上)と背面(下) (2009年3月14日撮影)
しかし先日初めて、畑内川沿いで1個体だけだが出合うことが出来た。
「日本産水生昆虫」(川合禎次・谷田一三共編、東海大学出版会刊)で科の検索を引き、クロカワゲラ科であることを確かめてから属の検索を引いてみたところ、
・前胸の前腹板は基腹板と分離する
・中胸腹板に位置する後叉状板は叉状板および棘状板と融合しない
・長翅あるいは短翅、時に微翅(透明)となる
・尾は腹部の長さと同じかより長く、10節より多くの節からなる
・前翅のR1脈は基部で前方に折れ、さらに後方へと曲がる。前翅の1A脈は、下方に曲がっ
たあと折り返すように曲がる;(中略)。雄の場合は第7背板が変形する
という流れを経て、「クロカワゲラ属の一部」に落とすことが出来た。
最初に属の検索を引いたときは、1A脈が図鑑に図示されているものほど曲がっていなかったので、オカモトクロカワゲラ属 Takagripopteryx かとも思ったが、その属とは第7背板が微妙だが変形すること、翅が腹部よりも長いことから違うだろうと判断した(オカモトクロカワゲラ属は第7背板が変形せず、翅は腹端に達する程度だという)。
クロカワゲラ属は、河川中流から源流にかけて様々な種が生息していて、北海道では本属の模式種となるクロカワゲラ C. nigra が記録されているという。
今回の結果から、教育林には2属3種のクロカワゲラ科が生息していることが分かった。
もうしばらくしたらクロカワゲラ科の成虫は見られなくなってしまうだろうが、それまでにこの有翅の個体を、いくらかでも追加しておきたいところだ。
by tsuchihashia
| 2009-03-16 22:17
| 襀翅目