2009年 04月 20日
エゾエンゴサク |
エゾエンゴサクの小葉はたいてい卵形をしているが(写真1)、稀に線形の個体もあり(写真2)、教育林では一部でその姿を見ることが出来る。 写真1 (2008年4月14日撮影) 写真2 (2009年4月15日撮影)
そのような個体はホソバエンゴサク Corydalis ambigua f. lineariloba という品種として扱われたりもするが(例えば谷口・三上,2005)、エゾエンゴサク自体かなり変異のある植物ということで、区別していない図鑑も多い(例えば梅沢,2007)。
ちなみに近年行われたキケマン属 Corydalis の分類学的再検討では、従来北海道と本州中・北部に分布するエゾエンゴサクとされてきた Corydalis ambigua という種はカムチャツカ半島からシベリア東部にのみ分布し、日本には分布しないとされた。そして、北海道に分布するものはサハリン・アムール地方に分布する C. fumariifolia という種の一亜種である
ssp. azurea 、本州に分布するものは C. fukuharae とされた(河野,2004の解説を参考)。
また C. fumariifolia ssp. azurea を記載した論文(Lidén, 1996)では、葉は線状になることもあると書かれているので、変異という見解なのだろう。
まあ分類に関しては今後も変わるかもしれないので何とも言えないが、こうした変異を探すというのは、何だか宝探しをしているようで楽しい。
梅沢(2007)には小葉に深い切れ込みが入った個体の写真も載っているので、これなんかは是非見てみたいものだ。
参考文献
河野昭一監修,2004.植物生活史図鑑Ⅱ 春の植物№2.北海道大学図書刊行会,札幌.109pp.
Lidén, M. 1996. New taxa of tuberous Corydalis (Fumariaceae). Willdeno-
wia 26: 23-35.
谷口弘一・三上日出男,2005.北海道の野の花.北海道新聞社,札幌.631pp.
梅沢 俊,2007.新北海道の花.北海道大学出版会,札幌.462pp.
そのような個体はホソバエンゴサク Corydalis ambigua f. lineariloba という品種として扱われたりもするが(例えば谷口・三上,2005)、エゾエンゴサク自体かなり変異のある植物ということで、区別していない図鑑も多い(例えば梅沢,2007)。
ちなみに近年行われたキケマン属 Corydalis の分類学的再検討では、従来北海道と本州中・北部に分布するエゾエンゴサクとされてきた Corydalis ambigua という種はカムチャツカ半島からシベリア東部にのみ分布し、日本には分布しないとされた。そして、北海道に分布するものはサハリン・アムール地方に分布する C. fumariifolia という種の一亜種である
ssp. azurea 、本州に分布するものは C. fukuharae とされた(河野,2004の解説を参考)。
また C. fumariifolia ssp. azurea を記載した論文(Lidén, 1996)では、葉は線状になることもあると書かれているので、変異という見解なのだろう。
まあ分類に関しては今後も変わるかもしれないので何とも言えないが、こうした変異を探すというのは、何だか宝探しをしているようで楽しい。
梅沢(2007)には小葉に深い切れ込みが入った個体の写真も載っているので、これなんかは是非見てみたいものだ。
参考文献
河野昭一監修,2004.植物生活史図鑑Ⅱ 春の植物№2.北海道大学図書刊行会,札幌.109pp.
Lidén, M. 1996. New taxa of tuberous Corydalis (Fumariaceae). Willdeno-
wia 26: 23-35.
谷口弘一・三上日出男,2005.北海道の野の花.北海道新聞社,札幌.631pp.
梅沢 俊,2007.新北海道の花.北海道大学出版会,札幌.462pp.
by tsuchihashia
| 2009-04-20 23:32
| 植物