2009年 06月 11日
タイショウオビオオキノコ |
せっかくの休日なのに朝から雨。
どこにも行けないので、最近買った「朽ち木にあつまる虫ハンドブック」(鈴木知之著、文一総合出版刊)を部屋でパラパラとめくっていたところ、オオキノコムシ科 Erotylidae のページに載っている「タイショウオビオオキノコ」の写真を見て、先日採集したまま毒ビンに入れっぱなしにしていたある個体のことを思い出した。
その個体は、ハサミムシがいないかと一剥ぎしたトドマツ倒木の樹皮下で、ミヤマオビオオキノコと仲良さそうに寄り沿っていたもの。
外見はミヤマオビオオキノコにそっくりなのだが、上翅の波状横帯がハッと目を見張るほど鮮やかな紅色をしていたので気になって採集し、そのまま忘れていた・・・。
さて、解説を読むと、タイショウオビオオキノコはどうやら珍しい種らしい。
「珍しい」と知るといてもたってもいられなくなり、いそいそと毒ビンから取り出して実体顕微鏡(ファーブル)を覗きながら保育社の図鑑(黒澤ほか,1985)の検索を引いてみると、①眼は小さく、眼間距離は眼の横径の約3.5倍②背面はまったくの無毛③上翅帯は生時鮮紅色、などの特徴が一致し、見事「タイショウオビオオキノコ」に落とすことが出来た。 タイショウオビオオキノコ Episcapha morawitzi (2009年6月7日撮影)
本種は北海道・本州・四国・九州・対馬・屋久島;済州島・朝鮮半島・中国(北部)・シベリア東部に分布し、対馬では普通だがほかでは稀とのこと。
正直、見つけたときは色が違うだけだと思ったので採集しようかどうか迷ったが、結果的に採集しておいて大正解だった。
じつは本種とよく似た色・模様を持つ虫がオサムシ科にもいて、その名を「キノコゴミムシ」という。
「朽ち木にあつまる虫ハンドブック」にも載っており、その解説には「タイショウオビオオキノコと一緒に見つかることも多い」と書かれている。
キノコゴミムシは以前から採集したいと思っている虫なので、次の機会にはぜひそれを・・・と思っている。 タイショウオビオオキノコ(左)とミヤマオビオオキノコ(右)
(ほぼ同倍率。クリックで多少拡大)
参考文献
黒澤良彦・久松定成・佐々治寛之編著,1985.原色日本甲虫図鑑(Ⅲ).保育社,大阪.500pp.
鈴木知之,2009.朽ち木にあつまる虫ハンドブック.文一総合出版,東京.88pp.
どこにも行けないので、最近買った「朽ち木にあつまる虫ハンドブック」(鈴木知之著、文一総合出版刊)を部屋でパラパラとめくっていたところ、オオキノコムシ科 Erotylidae のページに載っている「タイショウオビオオキノコ」の写真を見て、先日採集したまま毒ビンに入れっぱなしにしていたある個体のことを思い出した。
その個体は、ハサミムシがいないかと一剥ぎしたトドマツ倒木の樹皮下で、ミヤマオビオオキノコと仲良さそうに寄り沿っていたもの。
外見はミヤマオビオオキノコにそっくりなのだが、上翅の波状横帯がハッと目を見張るほど鮮やかな紅色をしていたので気になって採集し、そのまま忘れていた・・・。
さて、解説を読むと、タイショウオビオオキノコはどうやら珍しい種らしい。
「珍しい」と知るといてもたってもいられなくなり、いそいそと毒ビンから取り出して実体顕微鏡(ファーブル)を覗きながら保育社の図鑑(黒澤ほか,1985)の検索を引いてみると、①眼は小さく、眼間距離は眼の横径の約3.5倍②背面はまったくの無毛③上翅帯は生時鮮紅色、などの特徴が一致し、見事「タイショウオビオオキノコ」に落とすことが出来た。
本種は北海道・本州・四国・九州・対馬・屋久島;済州島・朝鮮半島・中国(北部)・シベリア東部に分布し、対馬では普通だがほかでは稀とのこと。
正直、見つけたときは色が違うだけだと思ったので採集しようかどうか迷ったが、結果的に採集しておいて大正解だった。
じつは本種とよく似た色・模様を持つ虫がオサムシ科にもいて、その名を「キノコゴミムシ」という。
「朽ち木にあつまる虫ハンドブック」にも載っており、その解説には「タイショウオビオオキノコと一緒に見つかることも多い」と書かれている。
キノコゴミムシは以前から採集したいと思っている虫なので、次の機会にはぜひそれを・・・と思っている。
(ほぼ同倍率。クリックで多少拡大)
参考文献
黒澤良彦・久松定成・佐々治寛之編著,1985.原色日本甲虫図鑑(Ⅲ).保育社,大阪.500pp.
鈴木知之,2009.朽ち木にあつまる虫ハンドブック.文一総合出版,東京.88pp.
by tsuchihashia
| 2009-06-11 22:20
| 鞘翅目