2008年 05月 10日
乙部町縁桂森林公園 |
快晴だが空気が冷たい。
知り合いの方と、乙部町にある「縁桂(えんかつら)」を見に行く。
縁桂とは、2本の株立ちした一方のカツラの枝が、もう一方のカツラの幹に面白い具合に癒着しているというもの。
そのため、縁結びの神が宿り、木に触れると縁が結ばれるとか。
縁桂の所までは、ウッドチップが敷かれ整備された沢沿いの名無しのコースと、「探鳥コース」と名付けられた森の中を通るコースの計2本があるが、現地では探鳥コースの存在には気付かず、沢沿いの道を行った。
歩き始めてすぐ、教育林では見たことの無い黄色い花をつけたバラ科植物を見つける。
「新北海道の花」(梅沢俊著・北海道大学出版会刊)を取り出し調べてみると、コキンバイということが判明。
ん? コキンバイ? なんか最近聞いたことがあったような?
・・・・・・あ! 先月の22日に、函館山で見たやつだ!
すっかり忘れてしまっていたことに、かすかなショックを受ける。
まぁそれはそれとして、この先どんな植物が見られるのかと楽しみになったが、その後はオオサクラソウを追加したのみで特に目新しい植物はなく、全体的に花が少ないという印象を受けた(これは鳥についても言えた)。 オオサクラソウ Primula jesoana var. jesoana
コキンバイの近くで、エンレイソウ属の植物がまったく見当たらないにもかかわらず、実生個体が密生している場所があった。
よく見ると、周りにはエゾタヌキのフンが散乱している。
どうやら、エゾタヌキのタメフン場として利用されている場所らしい。
ということは、エンレイソウ属(歩道沿いではエンレイソウTrillium apetalonしか見当たらなかった)の液果を食べたエゾタヌキが、大量の種子を含んだフンをここでしていったのだろう。本来エンレイソウ属の種子はアリによって運ばれるアリ散布植物だが、人が食べても甘みを感じるので、野生動物が利用するのも当然かもしれない。
また、今年はまだエンレイソウの液果は熟していないので、おそらく去年フンと一緒に出された種子が、今年になって発芽したものと思われた(家に戻ってからオオバナノエンレイソウの生活史を調べると、1年目に発根し、2年目に葉を出すとなっていた。エンレイソウ属の生活史はほとんど同じらしいので、上記の考えで合ってそう)。
タメフン場で実生個体を見つけるのは珍しいことではないが、このような流れが分かると、それだけでけっこう楽しめる。
その後は巨岩に張り付いて生育する樹木やシダ類を観察しながら、約1時間で縁桂に到着。 近くに設置されている看板によると、推定樹齢500年、樹高40m、幹周6.10mだという。
また、林野庁の「森の巨人100選」というものの、№11に選定されていた。
しばらく写真を撮るなどしてから、来た道を戻る。
「熊すべりの橋」と名付けられた橋の欄干で、ムカシトンボの羽化が見られたのは帰りの収穫。 ムカシトンボ Epiophlebia superstes
縁桂森林公園は2つのコースしかないが、その分四季を通して、歩道沿いの生き物の移り変わりなんかを観察するには絶好の場所なのではないかと思った。
コースが多いとそれだけ色々楽しめるが、少ないコースをじっくりと見続けるというのも、とても楽しいことだと思う。
今日の生き物(乙部町縁桂森林公園)
開花植物
セイヨウタンポポ・オオタチツボスミレ・ツボスミレ・エゾワサビ・タチツボスミレ・コキンバイ・ニリンソウ・シラネアオイ・レンプクソウ・センボンヤリ・ヒトリシズカ・オオサクラソウ・ナガハシスミレ・キバナイカリソウ・フイリミヤマスミレ・ニシキゴロモ・ハウチワカエデ・オオカメノキ・オオバミゾホオズキ
鳥類
ヤブサメ・ヒヨドリ・オオルリ・クロツグミ・センダイムシクイ・アオジ・エゾムシクイ・シジュウカラ・ウグイス・ツツドリ・ミソサザイ・ヤマゲラ・ヤマガラ
その他
ルリシジミ・コツバメ・エゾスジグロシロチョウ(鱗翅目)、カタクリハムシ・アトボシハムシ・ミヤマハンミョウ(鞘翅目)、ムカシトンボ(蜻蛉目)、フタホシヒラタアブ・フタスジヒラタアブ・ビロウドツリアブ(双翅目)、クリイロキセルガイモドキ(陸産貝類)
知り合いの方と、乙部町にある「縁桂(えんかつら)」を見に行く。
縁桂とは、2本の株立ちした一方のカツラの枝が、もう一方のカツラの幹に面白い具合に癒着しているというもの。
そのため、縁結びの神が宿り、木に触れると縁が結ばれるとか。
縁桂の所までは、ウッドチップが敷かれ整備された沢沿いの名無しのコースと、「探鳥コース」と名付けられた森の中を通るコースの計2本があるが、現地では探鳥コースの存在には気付かず、沢沿いの道を行った。
歩き始めてすぐ、教育林では見たことの無い黄色い花をつけたバラ科植物を見つける。
「新北海道の花」(梅沢俊著・北海道大学出版会刊)を取り出し調べてみると、コキンバイということが判明。
ん? コキンバイ? なんか最近聞いたことがあったような?
・・・・・・あ! 先月の22日に、函館山で見たやつだ!
すっかり忘れてしまっていたことに、かすかなショックを受ける。
まぁそれはそれとして、この先どんな植物が見られるのかと楽しみになったが、その後はオオサクラソウを追加したのみで特に目新しい植物はなく、全体的に花が少ないという印象を受けた(これは鳥についても言えた)。
コキンバイの近くで、エンレイソウ属の植物がまったく見当たらないにもかかわらず、実生個体が密生している場所があった。
よく見ると、周りにはエゾタヌキのフンが散乱している。
どうやら、エゾタヌキのタメフン場として利用されている場所らしい。
ということは、エンレイソウ属(歩道沿いではエンレイソウTrillium apetalonしか見当たらなかった)の液果を食べたエゾタヌキが、大量の種子を含んだフンをここでしていったのだろう。本来エンレイソウ属の種子はアリによって運ばれるアリ散布植物だが、人が食べても甘みを感じるので、野生動物が利用するのも当然かもしれない。
また、今年はまだエンレイソウの液果は熟していないので、おそらく去年フンと一緒に出された種子が、今年になって発芽したものと思われた(家に戻ってからオオバナノエンレイソウの生活史を調べると、1年目に発根し、2年目に葉を出すとなっていた。エンレイソウ属の生活史はほとんど同じらしいので、上記の考えで合ってそう)。
タメフン場で実生個体を見つけるのは珍しいことではないが、このような流れが分かると、それだけでけっこう楽しめる。
その後は巨岩に張り付いて生育する樹木やシダ類を観察しながら、約1時間で縁桂に到着。
また、林野庁の「森の巨人100選」というものの、№11に選定されていた。
しばらく写真を撮るなどしてから、来た道を戻る。
「熊すべりの橋」と名付けられた橋の欄干で、ムカシトンボの羽化が見られたのは帰りの収穫。
縁桂森林公園は2つのコースしかないが、その分四季を通して、歩道沿いの生き物の移り変わりなんかを観察するには絶好の場所なのではないかと思った。
コースが多いとそれだけ色々楽しめるが、少ないコースをじっくりと見続けるというのも、とても楽しいことだと思う。
今日の生き物(乙部町縁桂森林公園)
開花植物
セイヨウタンポポ・オオタチツボスミレ・ツボスミレ・エゾワサビ・タチツボスミレ・コキンバイ・ニリンソウ・シラネアオイ・レンプクソウ・センボンヤリ・ヒトリシズカ・オオサクラソウ・ナガハシスミレ・キバナイカリソウ・フイリミヤマスミレ・ニシキゴロモ・ハウチワカエデ・オオカメノキ・オオバミゾホオズキ
鳥類
ヤブサメ・ヒヨドリ・オオルリ・クロツグミ・センダイムシクイ・アオジ・エゾムシクイ・シジュウカラ・ウグイス・ツツドリ・ミソサザイ・ヤマゲラ・ヤマガラ
その他
ルリシジミ・コツバメ・エゾスジグロシロチョウ(鱗翅目)、カタクリハムシ・アトボシハムシ・ミヤマハンミョウ(鞘翅目)、ムカシトンボ(蜻蛉目)、フタホシヒラタアブ・フタスジヒラタアブ・ビロウドツリアブ(双翅目)、クリイロキセルガイモドキ(陸産貝類)
by tsuchihashia
| 2008-05-10 23:31
| ぶらぶら(町外)