2008年 09月 22日
オオヨモギハムシと場所の価値 |
昨夜は我が家に泊まりに来た札幌の学芸員の方と一緒に、教育林の裏手に当たる美和の林道と、江差町の田沢川沿いの林道にオオヨモギハムシを探しに入った。
美和の林道ではホストとなるアキタブキやエゾゴマナ、ヨブスマソウなどがそこそこ見られたが、成果は1♂をエゾゴマナで得たのみ。
そして田沢川沿いの林道はホスト植物こそかなり見られ環境も良さそうだったにもかかわらず、まったくの成果無し。
夜だしヒグマのこともあるので、車からあまり降りずに強力なライトでホスト植物を照らし、時折ホスト植物のビーティングも交えるという探索であったが、それでも見つからないと言うことは、この田沢川の林道にオオヨモギハムシはおそらくいないのであろうということになった。
教育林の畑内川沿いではかなりの個体数が生息しており、アキタブキを探せば見つけるのは非常に容易である。だから、そこしか知らない僕にとってはいることが当たり前で、いない場所があるというのは何だか信じられない思いだった。しかし話を聞いてみると、見つからないところでは丹念に探しても全然見つからず、そしてそういったことは飛べない虫であるオオヨモギハムシを探しているときには別に珍しくもないということだった。
こうして昨夜は1♂を得たのみで、オオヨモギハムシを採集すると言う観点から見れば完全な負け戦であったと言える。
しかし個人的には、いることが当たり前であった虫が、場所によっては全くいないということを知ることが出来たのはとても大きな収穫だった。
場所の価値を決める材料と言うのは、そこがどんな場所かにもよって種々あるが、教育林のような場所ではどんな生物がいるのかと言うことも重要な材料になると思っている。そのため教育林に分布する生物についても調べているが、そういった成果を発表したりする場合、どうしても珍しいとされる生物をクローズアップしてしまいがちになる。
まぁそれはそれで一つのやり方だが、そうではなく、教育林では普通に、当たり前に見られる生物にもちゃんと価値はあるはずである。そしてそのことを、何とかうまく人に伝えたい。
そう思ったとき、教育林のことだけをいくら知っていても、それだけでは語れない。
他の場所ではどうであるか、比較して、初めて語れるようになるのではないだろうか。
このオオヨモギハムシもそうで、教育林だけを見ていたのでは、ただ単にアキタブキなんかによくいるハムシとしか思わず、話のネタにすることはまずないだろう。しかし、分布しない場所があるということを知った視点で見ると、当たり前に見られるということはじつはすごいことなんだと分かり、誰かに話したくなる。
教育林をしっかり見るということはもちろん大切なことだが、それだけでは分からことも多いだろう。そしてそのことを知るためには、外からの視点が不可欠だ。
僕はかなりの出不精だが、職場でもありフィールドでもある教育林をもっとよく知るためにも、これからはなるべく外の世界に触れていきたい。
昨夜の出来事は、そんなことを考える良いきっかけとなった。
とりあえず今週の休みは、もう一度田沢川の林道に行ってみようかな。
自転車で行くには、けっこう大変そうに感じたけど・・・。 オオヨモギハムシ♀ Chrysolina angsticollis
♀の腹部先端には三角状の突起がある
これはヨモギハムシと見分けるときの良いポイントとなる
美和の林道ではホストとなるアキタブキやエゾゴマナ、ヨブスマソウなどがそこそこ見られたが、成果は1♂をエゾゴマナで得たのみ。
そして田沢川沿いの林道はホスト植物こそかなり見られ環境も良さそうだったにもかかわらず、まったくの成果無し。
夜だしヒグマのこともあるので、車からあまり降りずに強力なライトでホスト植物を照らし、時折ホスト植物のビーティングも交えるという探索であったが、それでも見つからないと言うことは、この田沢川の林道にオオヨモギハムシはおそらくいないのであろうということになった。
教育林の畑内川沿いではかなりの個体数が生息しており、アキタブキを探せば見つけるのは非常に容易である。だから、そこしか知らない僕にとってはいることが当たり前で、いない場所があるというのは何だか信じられない思いだった。しかし話を聞いてみると、見つからないところでは丹念に探しても全然見つからず、そしてそういったことは飛べない虫であるオオヨモギハムシを探しているときには別に珍しくもないということだった。
こうして昨夜は1♂を得たのみで、オオヨモギハムシを採集すると言う観点から見れば完全な負け戦であったと言える。
しかし個人的には、いることが当たり前であった虫が、場所によっては全くいないということを知ることが出来たのはとても大きな収穫だった。
場所の価値を決める材料と言うのは、そこがどんな場所かにもよって種々あるが、教育林のような場所ではどんな生物がいるのかと言うことも重要な材料になると思っている。そのため教育林に分布する生物についても調べているが、そういった成果を発表したりする場合、どうしても珍しいとされる生物をクローズアップしてしまいがちになる。
まぁそれはそれで一つのやり方だが、そうではなく、教育林では普通に、当たり前に見られる生物にもちゃんと価値はあるはずである。そしてそのことを、何とかうまく人に伝えたい。
そう思ったとき、教育林のことだけをいくら知っていても、それだけでは語れない。
他の場所ではどうであるか、比較して、初めて語れるようになるのではないだろうか。
このオオヨモギハムシもそうで、教育林だけを見ていたのでは、ただ単にアキタブキなんかによくいるハムシとしか思わず、話のネタにすることはまずないだろう。しかし、分布しない場所があるということを知った視点で見ると、当たり前に見られるということはじつはすごいことなんだと分かり、誰かに話したくなる。
教育林をしっかり見るということはもちろん大切なことだが、それだけでは分からことも多いだろう。そしてそのことを知るためには、外からの視点が不可欠だ。
僕はかなりの出不精だが、職場でもありフィールドでもある教育林をもっとよく知るためにも、これからはなるべく外の世界に触れていきたい。
昨夜の出来事は、そんなことを考える良いきっかけとなった。
とりあえず今週の休みは、もう一度田沢川の林道に行ってみようかな。
自転車で行くには、けっこう大変そうに感じたけど・・・。
♀の腹部先端には三角状の突起がある
これはヨモギハムシと見分けるときの良いポイントとなる
by tsuchihashia
| 2008-09-22 23:05
| 鞘翅目