2010年 12月 13日
ヤマカマス |
先日、赤沼町と滝野を結ぶ道路横の斜面林で、ウスタビガとヤママユの繭を幾つか見つけた。
ヤママユの繭は僅かしか持っていないので欲しかったのだが、足元には深くて幅の広い用水路が・・・。
越えられない渡れないということで、非常に残念ながら指を咥えて見ているしかなかった。
写真の繭は昨日見つけたが、昨日は風が強かったので、今日撮影し採集した。
卵が付着していなかったので、繭の主は♂だったのかもしれない。
ウスタビガの繭は、「ヤマカマス」という別名がある。
これは、炭や穀物を入れるため、藁の筵(むしろ)を二つ折りにして作った「叺(カマス)」という入れ物に、繭の形が似ていることに由来するという。
現在では叺の実物を見るのは難しいだろうが、好きな繭の由来になったものを、いつか見てみたいものだ。
最後に、大学生の時に手当たり次第集めた資料の中に、ウスタビガの繭に関するものが1つだけだがあるので、紹介したい。
「脇田雅彦・脇田節子,1999.ウスタビガのマユの伝承―岐阜県を中心に―.民具マンスリー,31(10):1-13.」
これは、タイトルにもある通り、岐阜県を中心に聞き取りを行い、ウスタビガの繭の呼称や利用法をまとめたもの。
これを読むと、岐阜県内では「コベラコ」、「コンベラコ」、「タッショ」、「タッソ」等と呼ばれ、中に小豆や小石を数粒入れて鳴り物にしたり、和鋏に付けてアクセサリーにしたり、はたまた指を怪我した時に傷口を守る指サックにしたりと、様々に使われてきたことを知ることが出来る。
さらに、岐阜県以外の各地の呼称や利用法も紹介されており、どれも非常に興味深い。
このような、人の暮らしの中にあった昆虫との関わりというものも、とても魅力のあるテーマである。
by tsuchihashia
| 2010-12-13 20:00
| 鱗翅目